3日
2026/02/07 12:18:04
目覚ましが鳴る前に、体が先に起きていた。
シーツの中で小さく伸びをすると、昨日の名残が、じわっと奥から返事をする。嫌じゃない。むしろ、思い出されるのを待っていたみたい。
シャワーを浴びながら、目を閉じる。
水音に紛れて、呼吸が少しだけ乱れる。
撮影のとき、カメラが近づくあの距離。視線が絡んだ一瞬。
「ここ、ちゃんと映ってるよ」
耳元で囁かれた声が、まだ皮膚に残っている気がした。
今日は打ち合わせだけのはずなのに、下着を選ぶ手がいつもより慎重だった。
見せる予定はないのに、きれいに整えてしまう自分がいる。
その無駄な準備が、少しだけ背徳的で、好き。
スタジオでの会話は淡々としていた。
でも、スタッフさんの視線が一瞬だけ私の首元に落ちたのを、見逃さなかった。
何も言われない。だからこそ、想像が勝手に膨らむ。
帰宅して、ベッドに腰を下ろす。
指先で太ももをなぞると、自然に力が抜けた。
仕事なのに、演技なのに。
それでも体は正直で、ちゃんと覚えている。
私はカメラの前で、何かを差し出している。
それが演技なのか、本音なのか、境目はもう曖昧。
でも、その曖昧さに触れられる瞬間が、一番…熱い。
電気を消して、目を閉じる。
次の撮影では、もう少しだけ、私の内側を見せてもいいかもしれない。
誰に、というより——私自身に。

