写メ日記

昨日

2025/12/11 22:21:24


朝、スタジオに入った瞬間のあの静けさが好きだ。
昨日のセットの匂いがまだ残っていて、照明の熱がほんの少しだけ漂っている。
ここから今日の物語が生まれると思うと、胸の奥がすっと熱くなる。

女優入り。
緊張しているのか、いつもより声が少しだけ固い。
「今日は、あなたの良さを引き出すから」
そう伝えると、彼女の肩がふっと柔らかくなった。
結局、どれだけ技術を積み重ねても、撮影は“人間”でしか成り立たない。

カメラの前に立つ瞬間の表情は、毎回驚かされる。
役柄がスッと身体に入っていく瞬間を目の前で見るのは、監督としての特権だ。
演じる側と撮る側の緊張がぶつかる、その一瞬に立ち会うのがたまらなく好きだ。

午後、ワンシーンの構図に悩む。
露骨さより、余白。
説明より、温度。
AVと言えど“表現”である以上、そこは絶対に外せない。

撮影後、スタッフと反省会。
「今日のあの瞬間、よかったですね」
誰かがそう言うと、皆が同じ場面を思い浮かべて笑う。
作品を作るって、こういう無言の共有が心地いい。

帰り道、コンビニで買った缶コーヒーがやけにうまい。
疲れの奥にある、撮り切ったあとの静かな満足感。
また次の現場で、どんな“表情”に出会えるんだろう。

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