今日は、視線の温度を強く感じた一日だった。
スタジオの空気は、いつもより静かで、
そのぶん、息づかいまで届いてしまいそうで。
衣装の隙間から触れる空気に、
自然と身体が敏感になっていくのがわかる。
撮影が始まると、
近づく距離に、心臓の音が少しだけ速くなる。
指先が触れるたび、
ただの演技じゃない何かが、
ゆっくりと内側に広がっていく感覚。
見られているのに、
目を逸らせない。
むしろ、
見ていてほしいと思ってしまう瞬間があって。
その視線の中で、
自分の輪郭が少しずつ溶けていくような、
甘い錯覚。
息が重なる距離で、
ふとした間に生まれる沈黙が、
言葉よりも濃くて。
カットがかかったあとも、
熱の名残が肌の奥に残っていて、
すぐには戻れなかった。
メイクルームの鏡に映る自分は、
少し潤んだ目をしていて、
知らない表情をしていた。
夜風に触れたとき、
ようやく現実に戻ったけど、
まだどこかに、
あの温度が残っている。
今日の私は、
少しだけ、欲張りだったかもしれない。

